土地放棄 耕作放棄地の現状と再生利用
高齢化や若者の農業離れにより耕作地が放棄される傾向にあります。
地方都市から離れた若者は東京や大阪など、各種産業が盛んな都市に移動し、就職する傾向にあります。
本記事では、耕作放棄地の現状や、放棄後の再生利用方法についてご説明します。
耕作放棄地とは?
農林水産省では耕作放棄地を「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする意思のない土地」と明記しています。
耕作地放棄に似た言葉には「荒廃農地」があります。
荒廃農地は「現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地」という意味合いを持ちます。
耕作放棄地は「所有者が耕作をすれば作物を育てることができる」、荒廃農地は「荒れ果ててしまったため、所有者が耕作しても作物が育たない」という違いがあります。
いずれも市町村や農業委員会により現地調査の上で判断されます。
耕作放棄地の現状
農林水産省が令和2年4月に発表した「荒廃農地の現状と対策について」によれば、高知放棄地の面積推移は年々増加しており、平成27年では42.3万ヘクタールが放棄されています。
1ヘクタールは100×100メートルなので、多くの耕作地が放棄されていることがわかります。
主な原因は高齢化で、農業就業者のおよそ7割を占める60歳以上の世代が引退したことです。
また若い年齢層は東京や名古屋、大阪などの都市圏に移住、就労するため農村人口が減少し、地域間のコミュニティ維持が難しくなったことも原因として挙げられます。
耕作放棄地の問題
耕作地を放棄し続けることで、さまざまな問題が発生します。
こちらでは、耕作地を放棄することによる問題を3点ご紹介します。
害虫や野生動物の繁殖
耕作地を放棄することで雑草が生い茂り、その雑草をエサにする害虫が繁殖します。
また雑草や害虫だけでなく、場所によってはシカやイノシシなどの野生動物が発生してしまう可能性があります。
害虫や野生動物は耕作放棄地を拠点に活動することが考えられるため、結果として周囲の農村にも被害が及ぶ可能性があります。
災害時の危険性
手入れされていない耕作放棄地は水はけや地盤のゆるみなど、土地そのものに問題が発生することもあります。
そのため、土砂崩れや洪水などの自然災害を防ぐことができなくなります。
廃棄物の不法投棄
誰も手入れしない耕作放棄地は廃棄物の不法投棄地となってしまうこともあります。
なかには自然界に悪影響を与えるプラスチックなどが含まれた廃棄物が投機されることもあるため、使用していない土地でもできるだけ管理する必要があります。
耕作放棄地の再生利用方法
こちらでは、放棄された耕作地の再生利用方法をご紹介します。
土地のレンタル
整備をすれば再び農地として利用が可能な土地の場合、農地バンクなどを利用した耕作地放棄の貸し出しなどで有効活用が可能です。
農家ではない方でも、農地を購入することなく農業を行うことができます。
土地を貸したい方は先述の通り、年齢により引退された農家です。
農地バンクの場合、農家の方と農業をしたい方が公的機関を通じて貸し借りができるので、双方が安心して利用できます。
補助金制度
耕作放棄地で農業を再開する場合、設備や施設を整備するための補助金「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」を利用することができます。
また、耕作放棄地再生利用緊急対策交付金のほか、地方自治体によっては別の補助金制度を用意しているケースがありますので、農業をはじめる際の敷居が低くなります。
おわりに
本記事では、耕作放棄地の現状や、放棄後の再生利用方法についてご説明しました。
高齢化により耕作放棄された土地が増加傾向にあります。
セカンドライフや趣味の一環として農業をやってみたいと考えられている方は、地方自治体に相談してみてはいかがでしょうか?
出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/nousin/tikei/houkiti/Genzyo/PDF/Genzyo_0204.pdfl)
この記事を書いた人
リゾート・バンク コラム部
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