原野商法で取得した土地の処分方法3選!相続時の注意点やよくある質問にもお答え

原野商法で取得した土地の処分方法3選!

別荘地


かつて多発した「原野商法」は、悪質な詐欺商法です。今なお「原野商法で購入した土地を相続してしまった」「売れずに困っている」と悩む方が後を絶ちません。また近年では、そのような土地を対象とした「二次被害」も増加しています。

本記事では、そんな原野商法の概要から、被害に遭った可能性があるときのチェックポイント、土地を相続・処分する方法などについて、解説いたします。

「親が騙されて購入した土地をどうすればいいか分からない」「知らない業者から突然連絡が来た」など不安を抱えている方は、ぜひご参考になさってください。

原野商法とは?

原野商法とは?


原野商法とは、実際には価値がほとんどない山林や原野などの土地を、あたかも将来的に高値で売れる有望な不動産であるかのように偽って販売する詐欺的商法です。1970年代から1980年代にかけて全国各地で被害が相次ぎましたが、近年ではその土地を対象にした「二次被害」も発生しています。

▶関連コラム:原野商法の二次被害に注意!悪徳業者の特徴や勧誘の内容をご紹介

詐欺に遭ったかも?と感じた時のチェックポイント

詐欺に遭ったかも?


次のような特徴がある場合は、原野商法やそれに関連する詐欺の可能性があります。

・長年放置していた土地について、突然業者から連絡が来た
・「高額で買い取る」と言われたが、前払いで手数料や測量費を要求された
・契約書の内容が不明瞭、または契約を急がせるような言動があった

このような場合は、すぐに契約せず、弁護士や不動産会社などに相談しましょう。

また、日頃から下記を意識すると詐欺を未然に防げるでしょう。

・見知らぬ業者からの突然の連絡には注意する:
処分や売却の話が出たときは、まず疑ってかかる姿勢が大切です。

・土地の権利書や登記簿を定期的に確認する:
権利関係を第三者に勝手に変更されるケースもあるため、定期的に確認することで不正を早期に察知できます。

・家族と情報を共有する:
高齢者が狙われやすいため、家族間で不動産に関する情報や書類を共有しておくと、詐欺への抑止力になります。

原野商法で取得した土地だけ放棄できる?

原野商法で取得


結論から述べますと、相続の際に土地のみを放棄することはできません。

多くの方が「使わない土地だけを相続放棄できれば…」と考えますが、日本の法律では一部の財産のみを選んで相続放棄することはできません。相続放棄は、被相続人の財産すべてを放棄することを意味します。そのため、土地だけを放棄して預貯金や家屋などは相続する、といった選択はできないのです。

もし不要な土地を相続したくない場合には、相続を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の手続きを行う必要があります。この期間を過ぎると、原則として相続を承認したと見なされ、所有権や固定資産税などの義務が発生します。

原野商法で取得した土地の処分方法

土地の処分


原野商法によって取得した土地は、生活圏から離れた山間部や未整備の地域にあることが多く、現在では「売りたくても売れない土地」として悩みの種になっているケースが少なくありません。

相続によって所有者となった場合、「現地を見たこともない」「何に使えるのか分からない」といった方が多いのも実情です。こうした原野商法による土地を処分する方法として、以下のような選択肢があります。

相続土地国庫帰属制度の利用

2023年に開始された「相続土地国庫帰属制度」は、相続などで取得した不要な土地を、一定の条件のもとで国に引き取ってもらえる制度です。「使い道がない」「買い手がいない」土地でも、要件を満たせば手放すことが可能となります。

ただし、すべての土地が対象となるわけではなく、以下のような条件をクリアする必要があります。

・建物が建っていないこと
・所有権や隣地との境界に争いがないこと
・土壌汚染などの環境リスクがないこと

また、制度の利用には申請時に審査手数料と負担金が必要となります。手続きには法務局への申請書類の提出、土地の境界を明らかにする資料などが含まれるため、個人で進めるのは難しいこともあります。そして、申請が承認されなかった場合でも、費用は返金されないため、注意しましょう。

信頼できる不動産会社に買い取ってもらう

不動産会社による買取を検討するのも選択肢のひとつです。たとえ売却金額がほとんどつかなくても、今後の固定資産税や管理責任から解放されるというメリットがあります。

とはいえ、原野や山林のようにインフラが整っていない土地や、接道義務を満たしていない土地などは、一般の不動産会社では買取を断られるケースが多々あります。こうした場合は、「訳あり物件専門」や「再生可能な山林・原野を扱う業者」に相談するのがおすすめです。

弊社では、市場で売却困難な「土地」「別荘」「リゾート会員権」などを有償ではございますがお引き取り(弊社に移転登記)させていただいております。

▶︎まずは買取り処分の流れについて知る

自治体に寄付する

自治体へ寄付を申し出る方法も挙げられます。たとえば、道路拡張予定地の一部や、防災緑地として活用できる土地などは、自治体が受け入れる可能性があります。

注意したいのは、すべての自治体が寄付を受け入れているわけではないと言う点です。受け入れには厳しい基準が設けられており、接道状況、面積、周囲の土地利用状況、管理負担などが考慮されています。つまり、自治体側にとって「負担にならない」ことが大前提なのです。

寄付を検討する場合は、まず管轄の市区町村役場に相談し、対象となり得るか確認しましょう。寄付が可能であっても、登記名義変更や境界確認などの手続きが必要となるケースもあり、時間と費用がかかる点にも注意が必要です。

原野商法で取得した土地を相続する注意点

土地の相続


原野商法で取得した土地でも、相続によって所有者となると法的な責任や義務が発生します。本章では、そうした土地を相続した際に押さえておきたい「3つの注意点」について解説いたします。

相続登記を行う

相続により不動産を取得した場合は、法務局で「相続登記」を行う必要があります。2024年4月からは相続登記の義務化が始まり、正当な理由なく3年以内に登記を行わない場合には、過料が科される可能性もあります。

「原野で使い道がない」「価値がないから放っておきたい」と感じるかもしれませんが、登記をしなければ売却や寄付など、ほかの手続きが一切できないこともあるので注意しましょう。

たとえ価値がなくても、まずは相続登記を済ませることが、今後の対応に向けた第一歩となります。

森林の場合は市町村への届出が必要

相続した土地が森林に該当する場合には、「森林の土地の所有者届出」が義務づけられています。これは所有者や利用状況の把握を目的として定められた制度です。森林を取得してから90日以内に、管轄する市町村へ届け出を行いましょう。

なお、届出の対象となるのは「地域森林計画の対象となっている森林」であるため、土地の場所や種類によっては不要なケースもあります。判断に迷う場合は、市町村の担当窓口に確認しておくと安心です。

▶︎出典:森林の土地の所有者届出制度:林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/todokede/

相続税の対象になる可能性がある

価値がないと思われる原野であっても、形式上は不動産資産であるため、相続税の課税対象となる場合があります。都市近郊の原野や観光地に近い立地であれば、固定資産評価額が意外と高く、相続税の課税対象となることもあるでしょう。

たとえ相続税が発生しない場合でも、固定資産税は毎年課税されるため注意が必要です。放置している間に税金が未納となれば延滞金も発生し、最終的には差押えや競売のリスクすらあります。

心のケアと家族への共有も忘れずに

原野商法で購入した土地を相続した場合、金銭的負担だけでなく、心理的なショックや葛藤も少なくありません。たとえば、「親が騙されて買ってしまった土地」と知ったときには戸惑いが入り混じることもあるでしょう。

このような問題は一人で抱え込まず、家族全体で共有することが重要です。とくに、将来的な相続人が複数いる場合には、トラブル防止のためにも早い段階で「この土地をどうするか」という方針を話し合っておくことが望まれます。

家族への寄り添い

まず大切なのは、親自身も「騙された」という事実に心を痛めている可能性が高いという点です。当時の親世代にとって、資産運用の知識は現在ほど一般的ではなく、「将来のために」と信じて購入したケースも少なくありません。その結果、騙されたことを家族に知られるのが恥ずかしく、長年黙っていたということもあるでしょう。

責めるのではなく、まずは「大変だったね」「今後どうしていこうか」と寄り添いの言葉をかけ、気持ちの整理を一緒にしてあげましょう。

家族に共有すべきポイント

原野商法による被害は、相続により子どもや親族に引き継がれることが多いため、家族全体での情報共有が必要です。ひとりで抱え込まず、兄弟姉妹や配偶者と状況を共有することで、対応策の検討や心の支えが得られます。

相続税や登記の有無、土地に関する書類が残っていれば、それも確認し、客観的な判断材料としましょう。

今後、二次被害を防ぐためにも、家族全員で「この土地について知らない業者から連絡が来たら要注意」などの共通認識を持つことが有効です。このように、再び同様の詐欺に遭うのを防ぐ意味でも、情報共有と連携は欠かせません。

被害体験が他者救済に繋がる可能性

原野商法の被害を経験したことは、単なる苦い思い出で終わらせるのではなく、周囲の方を救うための「気づき」にもなります。

「うちも同じ土地を持っていて困っている」「どうすればいいか分からない」と悩む方は、意外に多いものです。そこで、地域での防犯講座や高齢者向けの詐欺対策セミナーなどで体験談を提供することは、同じような被害を未然に防ぐ一助となります。

原野商法で取得した土地の処分に関するQ&A

原野商法で取得した土地は、今でも売却できますか?

売却自体は可能ですが、難しいのが実情です。アクセスが悪く、利用価値も乏しい土地が多いため、一般市場ではほとんど需要がないでしょう。弊社は、他社で売れなかった物件も有償ではございますがお引き取り可能です。

原野商法の土地を相続したくありません。放棄できますか?

相続放棄は可能ですが、家庭裁判所への申立てが必要です。相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きしなければ、自動的に相続したとみなされます。また、相続放棄をすると、ほかの財産も一切受け取れなくなるため、慎重な判断が必要です。

固定資産税がかかっているのですが、放っておくとどうなりますか?

固定資産税を長期間滞納すると、延滞金が加算され、最終的には差押えの対象となることもあります。たとえ実際には売れないような土地でも、法的には「資産」と見なされ、税金が課されます。売却が難しいからといって放置せず、納税や処分方法を検討しましょう。

知らない業者から突然電話があり、土地売却を促されました。信用して良いでしょうか?

即決せず、慎重に対応してください。これは「二次被害」の可能性が高く、かつての原野商法と同じく、価値のない土地に再びお金を出させようとする悪質商法かもしれません。言葉巧みに契約を迫られることもありますので、すぐに家族や専門家にご相談を。

土地の価値が上がることはありますか?

はい、ゼロではありません。土地開発や新駅の建設、インバウンド需要の増加などにより、土地の価値が上昇することがあります。たとえば、大型商業施設の建設や新幹線の整備などが進めば、周辺エリアの需要が高まり、地価が上昇する可能性もあるでしょう。

その他にも、土地の処分について
▶弊社ホームページ:「よくある質問|売却困難な土地・別荘の処分なら」

おわりに

原野商法によって取得した土地の処分を検討する際は、「国庫帰属制度」「不動産会社への売却」「自治体への寄付」など、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。

また相続人同士での情報共有や、悪徳業者からの二次被害を防ぐ意識も重要です。放置せず、早めの対処を心がけましょう。

「不要な土地をどうしていいか分からない」「売れずに困っている」という方は、ぜひ一度、弊社までご相談ください。有償ではございますが、全国の別荘地・リゾートエリアの物件のお引き取りが可能です。

監修者

新庄 延行(宅地建物取引士)
リバイブリゾート・システム株式会社・リゾート・バンク株式会社 代表取締役

弊社ではグループ独自の『買取り処分(不動産引き取りサービス)』を提供し、リゾート地域の活性化と循環を目指しながら「別荘地(休眠分譲地含む)引き取り・空き家の再生・販売」をトータルで実践する、不動産会社です。
別荘地、リゾート会員権等、リゾート関連においての長年に渡る豊富な相談実績と実務経験があり、お客様の立場にたちながら臨機応変かつスピード感を持った対応で沢山のお客様から喜ばれています。

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2025年12月26日|コラムのカテゴリー:原野商法について